愉しい会話が聞こえそうだ。ほっとする午後のお茶。
「木枠の窓辺も席ををとり、さっそくメイズオブオナーを注文した。外皮がカリカリとしており、とても香ばしい。中身はクリームチーズとカスタードクリームを混ぜたような素朴な味で、僕の舌先では、ほんのりと甘い、エッグタルトかチーズタルトという感じだった。ブルー&ホワイトのスポードのティーカップと柔らかい琥珀色のメイズオブオナーの組み合わせは絶妙だ。「仕事も家事も同じなのです。もちろん肉体的疲労はありますが、寝ると翌朝は元気ですよ。心の疲れは身体にはよくありません。心の疲れは目が覚めても疲れが残ってますよね。恥をかいても生きることを徹底して愉しむ、これが私のスタイルです。
メイズオブオナーが高級菓子でないことも、私を救ってくれます。いわば、ふつうのお菓子なんです。私もふつうの中に生き、生かされているんです。でも、ふつうに徹することって、勇気もいるんです。」と夫人は、またエクボを刻んだ。「ニューエンズ」のすぐお隣は、英国屈指の王立植物園であるキューガーデン。次回は藤棚の下のテーブルで、メイズオブオナーをパクリとやりたい。
288 Kew Road,Kew Gardens,
Surrey TW9 3DU
Tel:0181-940-2752(District
Line/Kew Gardens 下車徒歩5分)