シャトー







Chateau Pierry
タイトル
ルイ十五世、十六世の時代を象徴する
部屋が見学できるシャトー・ピエリー


Chateau Pierry

ここで少し、シャンパンの歴史を振り返ってみよう。シャンパーニュ地方で造られ るワインは、シャンパン誕生以前の時代、明るい赤ワインか、くすんだ灰色の白ワインだったそうだ。それも、気温が低く、気候に恵まれないため、糖度が低く酸味が強いワインだった。「何とか品質改良をして、まろやかな味わいの、澄んだ白ワインを造りたい」という思いから、ドン・ペリニョンを中心とする修道士たちが、ワインの調合やビンの使用、コルク栓の応用を試行錯誤し、さらに果汁と果皮の接触時間を短縮化する圧搾機を考え出したり、温度を一定に保てるカーブを作るなど、くすんだ色の白ワインを造るために努力を重ねた。その結果、十七世紀末に生まれたのがシャンパンである。

シャンパーニュ地方の人々は、シャンパン誕生の最大の功労者であるドン・ペリニ ヨンの功績を受け継ぎ、シャンパン発展に寄与した人物、ジョン・ウダールが眠る墓があるピエリーを「シャンパン歴史の地」と呼んでいる。ウダールらが活躍した時代の後、十八世紀半ばにフランス貴族たちがこの地にやって来て、十余りの城を建てて敷地内でシャンパン作りを手がけ、村が栄えたことに由来するのだろう。

そんな城の一つがシャトー・ピエリーである。ここにはシャンパーニュ地方独特の 伝統的な縦型圧搾機があり、いまなお“現役”で稼働している。また、瓶内二次発酵後に行われるルミアージュ(瓶内の澱、つまり酵母を除去するために、瓶を八分の一ずつ回しながら徐々に瓶の頭を真下に向けていき、瓶口に澱を集める作業)は、昔と変わらない伝統的手法を受け継ぎ、現在もすべて手作業で行われている。時代を超えて普遍の味わいを醸すシャンパンを追求するからこそ、シャトー・ピエリーは手作業にこだわっている。
  デモ
澱の沈殿の様子をデモンストレーション。

プレート
 佳き時代が絵付された記念プレート。
ポール・ゴビヤー氏
ティスティングをするシャトーの所有者、
ポール・ゴビヤー氏。

「二ヶ月間毎日、ルミアージュを行います。熟練職人は一時間に一万本のスピードで 瓶を回しますが、これはシャンパン作りのかなでも最もデリケートな作業なんですよ」
シャトーの所有者、ポール・ゴビヤー氏はそう言って、ルミアージュのデモンスト レーションをした後、「シャンパンに込めた私の愛も一緒に回ります」といたずらっぽい笑顔を見せてくれた。シャンパンの一本、一本に作り手の愛情が込められている、と実感できた。


訪れた人々はここでティスティングする。
シャトー・ピエリーではまた、ルイ十五世、十六世の時代を象徴する豪奢な装飾に 彩られた部屋の数々を見学できる。ときには部屋をめぐりながら特別な歴史を持つシャンパンを試飲できるツアーも催され、たとえばマリー・アントワネットが愛したシャンパン、ハイパー・エドシックをルイ十六世時代に由来する部屋で飲む、といった趣向が凝らされている。シャンパンの時代を超えたうまさを感じる瞬間が、そこに演出される。

ゴビヤー氏によると、シャンパンを飲むときには一つの儀式が必要だという。まず 、グラスの曇りをとってシャンパンを注ぎ、グラスを蝋燭の炎に照らしながら、ゆったりした気持ちで美しい泡を眺める。そして、ともにシャンパンを味わう相手と顔を見合わせ、健康と幸せを祈って乾杯。こうした儀式があって初めて、グラスに口をつけ、優雅にシャンパンを味わうことができる。   シャンパン
ミレニアムの美酒が笑みを投げかける。

ミレニアムの美酒をぜひ、この儀式を経て味わってみてほしい。きっと、来る二〇〇〇年の幸福を、シャンパンが呼び寄せてくれるに違いない。




Castellane   Pere&fils
DEUTZ   Chateau Pierry
Chateau Chalons   BUTIN
Caveau de Bacchus   ARBOIS PUPILLIN


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