作者不詳 巻十一 2617
待てど暮らせどなかなかおいでにならない……… こうして山桜の戸を開け放っているのに……… 一体誰があの方を引き留めているのでしょう。
と、詠み人知らず。万葉集の魅力は、世界に類のない編集姿勢にあります。天皇と名もない農民の作品がおなじように扱われているところが素晴らしいですね。編者の大伴家持は奈良時代の政治家でもありました。気の遠くなるような遥か昔の時代ですが、人の思いは今も変っていないのですね。
本郷さんの桜図四枚組は、窓越しにのぞめる満開の桜といつも競い合っております。
ソメイヨシノが散ると、ヤエザクラが咲く我が家の借景。
あかねさす紫野行き標野行き 野守は見ずや君が袖振る
額田王 巻1-20
紫草のにほへる妹を憎くあらば 人妻ゆゑに我恋ひめやも