とっておきのホテル
第1話
オテル・ドウ・クリョン


HOTE DE CRILLON

コンコルド広場
ホテルの前庭となるのがコンコルド広場。
 シャンゼリゼを通り抜けると、そこはコンコルド広場。 一八三三年、エジプトから運ばれた太陽信仰の記念碑、オベリスクが聳えている。 その広場に面した壮麗なる“宮殿”が、「オテル・ドウ・クリョン」である。

 上等な生地の制服に身を包んだドアボーイが小さな回転扉を押す。 まろやかな外光を受け、ロビーの大理石の床に無数の光の粒子が飛び交っている。 撮影の打ち合わせは、広報氏に案内されたサロン「鷲の間」。ウッドロー・ウイルソンを中心に国際運盟創設のための会議がなされたこの部屋はオービュソンのカーペツ トや、ボヘミアン・グラスを使用したシャンデリアが輝くなど、ルイ一五世・一六世当時のままである。

エントランス
回転ドアの奥には眩い大理石の床がひろがっていた。
客室
まるで宮殿のような客室の調度品にうっとり。

テラス
コンコルド広場、チュイルリー公園、
エッフェル塔、アンバリッド、グラ 
ン・パレが一望できるテラス。   

 この建物は一七五八年、ルイ一五世がポンパドール夫人のために建築家ジャック・ア ンジュ・ガブリエルに命じて建てたものだが、放蕩のつけはルイ一六世にまわってきた。一七八八年には王家の財政難からクリョン伯爵の手に移ったが、その時の売買契 約書は現在もサロンに一角に保存されている。王妃マリー・アントワネットが「ピアノのお勉強」といっては恋人と逢瀬していた部屋も現存している。一九〇七年には“ ソシエテ・ド・ルーヴル”――シャンパーニュの名門テタンジェ家が統括する多角的企業グループでこのホテルのほかにコンコルド・ラファイエット、ロイヤルクラブ・ エヴィアンなどのほか、二つ星のレストラン「グラン・ヴフール」、銀行などを傘下に治めており現会長はかつて法務大臣でもあったジャン・テタンジェ氏――が買収した。ホテルとしての創業は一九〇九年三月である。

  建物はフランスの重要文化財に指定され、歴史的価値のある部分の改築は一切禁止であったが、八一年から八五年にか けてテタンジェ氏は五五〇万フランを費やして、ソニア・リキエルらに任せ徹底した宮殿ホテルを創り上げたのだ。

パティシエ
レストラン「レ・ザンバサドール」のパティシエ。
 撮影後、広報氏に屋根裏部屋に案内された。何か冷たいものでも、と。でもクリョン にまできてなぜ屋根裏かと疑問もあったが、それは瞬時に解消した。この屋根裏こそソニア・リキエルのオリジナルであり、バルコニーからは、コンコルド広場、チュイ ルリー公園、エッフェル塔、アンバリッド、グラン・パレが一望できた。おそらくパリ随一の眺望であろう。

 そして確かに冷えたテタンジェが待っていたbb。

デザート
テタンジェと相性がいいデザートだけが目的の客もいる。


HOTEL DE CRILLON
10.Place de la Concorde. 75008 Paris
TEL 01-44-71-15-00
FAX 01-44-71-15-02

ボーダー
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