LE PROCOPE
ル・プロコープ

13 Rue de l'Ancienne Comédie 75006 PARIS TEL 01 40 46 79 00

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ラ・フォンテーヌ、ルソー、バルザック、ユゴー……
錚々たる面々が常連客リストに載っていた

 

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1686年にカフェとして誕生。革命当時は
シェ・ゾピ Chez Zoppi と呼ばれていた

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長い歴史を見つめてきたヴォルテールの机

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晴れ、曇り、雨、嵐と書かれている温湿度計

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オデオンの交差点でひと際目立つ存在

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ナポレオンが代金の代わりに置いていった帽子
 「この部屋の向かい側、ちょうどあの辺りにマラーの印刷所がありましてね、彼はよくここで書きものをしていました」。
 裏通りに面した古い建物を指差しながら、まるで当時を知っているかのように語る支配人。3階奥のダイニングには活字ケースが飾られ、マラーの印刷所で使われていた活字がきれいに並べられていた。

 パリ左岸、サンジェルマンとカルチェ・ラタンの間にあるオデオンの交差点に、イタリア貴族のフランチェスコ・プロコピオ・ディ・コルテッリがカフェを開いたのは、もう3世紀以上も昔のこと。世界で最も古いといわれるこのカフェは、フランス史に名を残す多くの思想家や政治家たちの集いの場であった。
 「フランス革命時には、ロベスピエールやダントンらが会合を開き、1792年にはこの店でテュイルリー宮攻撃が宣言されました。これは店と共に長い歴史を見つめてきたヴォルテールの机です。彼はここで数々の作品を生みだしました」。

 ル・プロコープには歴史を物語る様々な品が飾られている。すべてを知るためには1日かけても終わりそうになかったので、今度は地下の厨房を案内してもらうことにした。白いタイル貼りの滑りやすい通路を進んで行くと、そこには黙々と働く大勢の料理人たち。こちらを横目でチラリと見ただけで、みんな仕事に熱中していた。
 「ここは1日分の材料が入ります。一番混み合う土曜などは昼の間に空になってしまい、再度注文することも珍しくありません」。
 支配人が見せてくれたのは4.5畳くらいの大型冷蔵庫。これが野菜や肉などジャンル別にいくつもある。ここに入るだけの材料をたった1日で使い切ってしまうのだから、客の数は想像できるというものだ。説明を聞いているうちにお腹が空いてきたので、先ほどのダイニングで本日のおすすめ料理をいただくことにした。

 運ばれてきたのは大きなムール貝のグリル バジリコ風味。香り付けのためにコニャックをふりかけ、火をつけるという演出を見せてくれた。ここで食事をしていたのは、"文学カフェ" に相応しく、きちんとした身なりの賢そうなフランス人ばかり。どうやら観光客は1階のメインダイニングと決まっているようだった。
 店の向かいの建物は、コメディ・フランセーズがそこにあったことをプレートに記していた。入口に飾られていた中尉だった頃のナポレオンの帽子は、思いのほかシンプルで、皇帝のイメージからはほど遠いものであった。

 

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モンテスキューの "ペルシャ人の手紙" の中で語られている "カフェ" とは、
ル・プロコープのことだとある学者は言っている。
常連客用とも思われる2階席には、文学の香りが漂っていた。

 

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Kazarikei

 
merci

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