美しき逃避行

十年ほど前、あるご夫妻の お遍路 にお付き合いした。精神世界が凝縮したような道のりだったが、海岸寺で展示されていたある辞世の句が妙に印象的だった。京都の 庭園美を極めた東福寺・塔頭 即宗院 でその五十二文字の句を残した月照上人のお軸を拝見したが、若いころから幕末に関心が高かったこともあり、京より薩摩への美しき逃避行に興味が増して終わりがない状況になっちゃった。

逃避行は逃避考かも・・・・・

 

眼と眼が触れた

女性のような美しい声と華奢な体躯で色白。尼僧と見まごう耽美な法衣姿で詩文を詠む。その溢れる品格が厳つい貌の西郷隆盛と絶妙な心情を寄せ合いっていたのだろう。

「眼と眼が触れた。蒼い想いが赤く走った。君がため、法のためには、露の命は、あっという間に、波のなかに消えていた。水煙が苫屋に立った。」 (「月照」 織田作之助 現代新書40 )

これからも続くであろう月照研究は、もしかしたら拷問なのかもしれない。

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