今月の特集

幸運を奏でるハーモニーで喉を潤す。
ミレニアムを記念する特別豪華シャンパーニュに相応しいゲストルーム。

あと数ヶ月で新千年紀、二〇〇〇年が到来する。いつもの年とは違う、この千年に一度のイベントを飾るにふさわしい美酒は、祝砲とも言うべき音を立ててコルク栓が飛び、軽やかに泡がはじけ、高貴な香りが匂い立つ、華麗なるシャンパンである。ミレニアムを祝す新年を迎えた瞬間、無数のコルク栓が世界の宙を舞うことだろう。

もちろん、シャンパンの代表的なメーカーは、ミレニアムを記念する特別豪華シャンパンを限定販売する構え。世紀の大イベントに、プレステージ・シャンパンが華やかで楽しい彩りを添える。

白亜の殿堂、ドゥッツ社の威風堂々とした外観。

ランスからシャンパン街道を南下、エペルネに至る手前に、古くからシャンパン産出地として名高いアイという、厚い城壁に囲まれた村がある。二人のドイツ人男性、ドゥッツとジェルデルマンは一八三八年、この地に小さなシャンパン会社を創設した。以来、ドゥッツ社にはロデール社の傘下となった今も、一五〇年に及ぶ伝統が脈々と生き続けている。

ドゥッツ社が目指すのは、「過去と現在の調和がとれた共存」。伝統をテクノロジーと融合させる手法で、年間約百万本のシャンパンを生産している。そして今年、従来からある幅広く充実した商品ラインとは別に、新しくブラン・ド・ブラン一九九三年特別キュヴェを一万五千本、予約申し込みにより限定販売する。その名は「アムール・ド・ドゥッツ」。ドゥッツの愛をこめて贈るヴィンテージである。

ブラン・ド・ブランとは白中の白、シャルドネだけで造られるシャンパンのこと。通常、シャンパンにはピノ・ノワール、ピノ・ムニェ、シャルドネの三種のブドウが使われ、ほとんどのシャンパンはいろいろな年の異なるブドウで造られたワインをアッセンブラージュ（ブレンド）して造られるためノン・ヴィンテージである。しかし、「アムール・ド・ドゥッツ」は当たり年の選りすぐったブドウ、それもシャルドネ種だけを使用。ミレニアムを祝すにふさわしい特別の一本に仕上げた。

「過去と現在の調和がとれた共存」を証明する逸品だ。

　このミレニアム・シャンパンへの意気込みを見てもわかる通り、ドゥッツ社の総責任者、ファブリス・ロゼット氏は新しい試みに精力的に取り組んでいる。たとえば音楽の分野では、ロンドン・シンフォニーオーケストラの三人の若手若演奏家トリオと、素敵な関係を持っている。トリオの名前は、三人が揃ってドゥッツ社のシャンパンがお気に入りであることから、ドゥッツトリオ。彼らが一九九六年にアイ村でコンサートを行ったとき、シャンパンが織りなす味と香りのハーモニーとトリオが奏でる音のハーモニーが共鳴したそうだ。ロゼット氏はトリオの「三」のコンセプトを生かし、三本の主力シャンパンを特製木箱にセット。魅惑のハーモニーを奏でるシャンパントリオを生みだした。

顧客対応の責任者であるブロ・ド・コメール氏に案内された。