───中秋 一五の夜───
僕が18歳の時、世の中がテレビ中継に釘付けになった瞬間がありました。月面着陸です。当時のアメリカはベトナム戦争の最中でしたが、他国だけに飽きたらず強引に月に行ってしまいました。
「ああ、これで月でウサギが餅つきしているのが大嘘だとバレた。詩人、歌人たちはそのモチーフを失った。」と思いました。
今も宇宙は心の裡に在るものだと信じています。ちなみに「ワープする宇宙」読破しましたが、翻訳者の感性の問題なのか理解できませんでした。

この数式を置き換えると「色即是空 空即是色」となるのでしょうか。それより遙か前、火焔土器を焼成していた縄文人は異次元の存在を肌をとうして知っていたような気がします。
著者のリサ・ランドールと茂木健一郎の対談をテレビで見ましたが、茂木さんのコメントのほうが5次元を多く語ってました。その人柄自体に華(美貌)があるリサ・ランドールは、流行りの人と感じました。
茂木さんと言えば、某局の特番で尾崎豊をベタ誉め。「彼の歌は文学でもある。」と目を細めてしずしずと語っておりました。
「十五の夜」は「七十、八十の夜でもある」と話すあたりは、さすが小林秀雄賞の面目躍如。

25日(旧暦8月15日 中秋の名月)は、窓越しに月。雲多く風も強かったため、秒刻みで月は見え隠れます。300ミリの長玉でファインダーを覗くと、雲の形相は鬼のようでした。
鬼といえば散歩で出会い、必ず我がワン公を威嚇する黒ネコ。百戦錬磨を象徴するごとくちぎれた左耳と額の無数の傷。その全体と細部は、鬼の意地と誇りで満ちていたようです。