ブーケ

 N航空時代にお世話になったCさんは、現在B大学の教授。でも彼にとっての教鞭は「メシのタネ」であって心はは別のところにあるようです。思えば25年ほど前からその「夢の実現」の一部は目白で形になっていたようです。銀座からヨロ酔い気分で案内されたところはタクシーで10分ほどの新世界。東京夜景の俯瞰はよくありますが、立ち位置で一望できる場所はそうありませんね。
 で、その夢の内容ですが、ご本人の承諾を得てからご紹介します。

 

輪郭の飾り

 


ブーケ

 
 承諾といえば、吉井画廊で開催されている「黒田泰蔵展」。
「……その人が、白と向き合うというのは、一つの必然だった。真っ黒な中から、どんどん不純物をとりのぞいていかないと白磁は生まれない。少しでも鉄分などがあると白くならない。
 黒田泰蔵は、徹底的に言葉をすてた。そして白になった。だから、彼の白磁はまさに彼の言葉だ。無言だが雄弁。……」(竹田 博志)の案内文に惹かれ思わず黒田泰蔵氏に取材を申し込みましたが、週刊誌的突撃のクセが抜けないようで、気づいた時にはご本人に承諾を得ずレンズを向けておりました。たいへん失礼なことでした。

「どんな名器でも使いきって雑器化」が僕の常套文句でありましたが、画廊を支配する得も知れぬ緊張感に圧倒されました。ホワイト オン ホワイトの世界、来年の課題は「黒田泰蔵研究」であります。

 

輪郭の飾り

ブーケ

 銭湯帰りにブラリ寄り道のギャラリーです。
出し物は来年に向けて『ルーマニアガラス工芸と新しい日本の美術』『現代エコール・ド・パリ展』そして中国と日本をつなぐ3名の作家『馬驍・王荻地・金醒石 三人展』がつづきます。表現はみな違いますが、風呂上がり五分後に作家の胸底にリズミカルに潜む造形と普遍性に出会えるのが僕にとっての贅沢でもあります。

 

 

輪郭の飾り

 


ネギ

 うーん、値切り上手の編集者にヤラレました。ご丁寧に目ヤニもリアル、そして呼吸、寝息(作者の予期せぬモーター音効果)までするオモチャでした。ただひとつの弱点は口周りがキャバリア似の毛長でした。
 年が明けたら、鼻毛カッターで極上トリミングに望みます。

 

輪郭の飾り

 


 T先輩に奢られました。0.1コでも年長ですと先輩扱いになるウヨク・ガクセイ時代の流儀に感謝します。K塾関係者のみが会員になれる「BR&B」という敷居が高い溜まり場がありました。

 それにしても先輩がたは、腹が立つほどみな元気がよく、悠々とした初老生活を迎えております。今時銀座でハシゴをやっちゃうのですから、なるほど団塊の世代強し、なのでしょうか。

 

平成二十二年十二月二十四日

輪郭の飾り

 


gyらりー

作品

 浅間山麓の夜道、ヘッドライトに銀色に浮かび上がったのは道路の真ん中にいたフクロウ。クルッとまん丸の顔を向けこちらを一瞥。と同時に、美しく闇にとけたフクロウ……じつに感動の一瞬でした。
 で、下山してまたフクロウの視線にヤラれました。我が家から数軒先の音羽画廊で開催されていた絵本「Pelan-Pelan」の原画展はバリ島に生息するフクロウで満ちておりました。

 作家のイワヤン・シーラさんはウブド村出身。この村には数回訪れていますが、なんと細密画で知られる彼のお祖父ちゃんを取材しておりました。玄妙を極めた精緻な筆使いは、バリ・ヒンドゥーの面目躍如でした。

 

輪郭の飾り

 


ブーケ

 逗子から届いた可愛い飴玉のようなオキナワスズメウリ(はじめて知りました。)のブーケ2輪。添え書きに「庭に増殖した。」とありましたが、なんとも羨ましい住環境ですね。

 ほんのりと熱をおびたようなネギの写真に添えました。

 

輪郭の飾り

 


銭湯

 回顧といった情けない観念ではないのが現役バリバリの銭湯(月の湯)であります。はい、昭和9年築の折り目正しい伝統的銭湯なのであります。
 黒瓦、唐破風造りの外観、松竹錠の下足箱、四角い番台、縁側、石燈籠、木製のロッカーに脱衣籠、アナログ体重計そして威風堂々の富士山のペンキ画。まさに絵に描いたような「回顧」まで我が家から徒歩10分。
 第二、第四日曜日は区民無料(タオル・石けん・シャンプー100円)という大判振る舞いは、痛み入りの極みでしょうか。(区民税、少ない納税で恐縮です。)

 大きな湯船につかるとぶあつい苔が全身から落ちたような気がするのが銭湯なんですね。いわゆる温泉などの名湯とは違った趣は、僕にとってはパワースポットでもあります。
 風呂上がりにちょいと寄り道。ノリを変えつつ近くのマーキーのカウンターで生ビールを呑るのが、昨今のささやかな贅沢なのです。

 

輪郭の飾り

 


枝豆

 ↑は御礼のハガキです。だだちゃ豆三昧。見栄えは必ずしも良くないが、肉厚で 奥深い味が魅力でしょうか。デザートのずんだ餅は薄皮剥き、潰しは僕の役目ですが、気づいたら餅がなかったので、バニラのアイスにトッピングしていただきました。食感はチグハグでしたが、これがどうして、なかなかの絶品でした。

平成二十二年十月三十一日

輪郭の飾り

 

 

 


神宮球場

 今年は猛暑がつづいたせいか、浅間山麓の生活が有り難かったですが、記憶に残る出来事もたくさんありました。
 O教授のご子息(写真左)が、な、なんとあの「はやぶさ」の60億kmの旅を終えたカプセル開封スタッフとのことでした。夜空に輝く星々がはるか昔の姿であるように、美(うま)し国の原始に触れるような0.001ミリ以下の微粒子が詰まったカプセルなのであります。
 古い大宗教の懐の深さをもった浪曼そのものです。

 

輪郭の飾り

中野さん

 浅間山麓のリスを描いて30年のNさんと野鳥愛好家のAさんは、素敵に年輪を刻んでおられます。若さに媚びることなく、淡々と世俗を脱しているような揺れる銀色の髪に乾杯しました。

 愛機のライカを構えるのはK談社の写真部を捌いておりましたらOカメラマン。オリンピックやワールドカップで数々の名ショットを誌面でご披露していた時代が懐かしいです。
 コマネチのオリジナルプリントを所望したいところですね。

 

 

輪郭の飾り

神宮球場

 6月にご紹介した三重県議会議長殿にご来訪いただきました。目的は選挙用ポスターの撮影。照明器具は屋外工事用のライト二灯。でも我ながら上手く撮れたようです。

 不屈の図々しさとハンマーのようなモリモリした腕の議長殿に、「清き一票」をお願いいたします。

 

 

輪郭の飾り

神宮球場

 ウクレレ奏者の知人から自作の「龍頭観世音」をいただきました。古木の風合いがとても奥深い味を漂わせ、鎮静の効果を発揮するほどの造形であり、癒しの極みでもありました。ネギの初盆の供養となりました。
 六さん、ありがとうございました。
 死してデスクトップを飾るネギの意地と誇りが透けて見えたようです。

 

輪郭の飾り

神宮球場

 お隣のわんちゃんは老犬。確かめるように、撫でるように地に足を運んでいた姿に思わずレンズを向けました。
 老犬特有の奥ゆかしい物腰のお隣ワンがネギと重なりました。車から降りて見知らぬワンにもついつい・・・・・・。

 

 

輪郭の飾り

神宮球場

 日中は窓を開けっ放しなので銀ヤンマも遊びに、というか永眠場所を求めて部屋に入ってくるようです。キーボードに軟着陸したと思ったら、そのまま動かなくなりました。零式艦上戦闘機が南海の孤島に不時着したような翼のたたずまいでした。

 クワガタ、カブトムシも我が家で同じように玄妙を極めた姿態で固まりまっておりました。
 邪気というものを寄せ付けない清澄な形、そんな彼らを眺める日々がつづいておりました────。

 下山してソニー・ロリンズのコンサートへ。老体にたたえた白髪、真っ赤なシャツにサングラスのソニー御大は老犬のようにヨロヨロとステージに現れました。「80歳記念ツアー」のタイトルが、妙に浅間山麓での日々と重なりました。ただ演奏が進むたび曲がった腰がどんどん高くなり別人のような動きになりました。演奏が人を変えたのですね。
 最後は、ジャズ史に残る名盤『SAXOPHONE COLOSSUS』に収録されたロリンズの代表曲"St. Thomas"。

「人生はいつも即興、偶然、創造性に満ちている。生きることは即興、ジャズなんだ」と日本の「一期一会」の精神とも相通じるとインタビューに答えておられたソニー翁でした。

平成二十二年九月三十日

 

輪郭の飾り

 



神宮球場

 ビヤガーデンは30年前から神宮球場と決めておりました。
外野席、内野席、ネット裏とそれぞれの趣があり、なんと言っても空が開けてるのが嬉しいです。どちらかというと観戦よりも雑談に沸くのであります。

 先月に続きワン公付き写真。作家の後藤先生に神楽坂の居酒屋でしこたま奢られました。後藤先生は熱狂的な広島ファンで、その解説が楽しみで先生を球場にお誘いした次第でしたが、生憎の雨で試合は中止。
 
 この日はヤクルトと広島のゲームでしたが、「昨日までの阪神戦で疲れたヤクルトの選手を休ませるために中止となったわけ。ヤクルトが元気だったらこの程度の雨では中止しない。」とテレビ解説者とはひと味違う解説が、居酒屋でも延々とつづきました。

 

輪郭の飾り


セーブル窯

 上海のデパートでヨーロッパ名窯展がはじまり、北京の出版社から写真展示の企画が持ち込まれました。陶磁器の本家である中国が亜流のヨーロッパ磁器に媚び始めているのでしょうか。 

 写真はセーブル国立博物館で撮影した「王者の青」テーブルウエア。凛と澄ました深い青は」さすがに気品が漂っておりましたが、セーブル窯の名を18世紀の全ヨーロッパに知らしめたのは、ポンパドールピンクでしょうか。

 

輪郭の飾り

ポンパドールピンク

 確かに中国人が好みそうな桃色。写真は南仏ロスチャイルド家のポンパドールピンクのコレクションです。ポンパドールピンクとは乱暴に直訳すると「ルイ15世の側室が好んだピンク」。彼女が「心を奪われた」と絶賛したのが中国から輸入された辰砂(血紅色)のカップだったのです。その血紅に似た釉薬を当代随一の科学者に製造させたのがポンパドール夫人だったのですね。

 250年前のヴェルサイユ宮殿で模倣された血紅色が、現代中国で大歓迎を受けているのは、東西の再会なのでしょうが、じつに不思議な話です。

 

 

輪郭の飾り

 

遺骨


 ポンパドールピンクではありませんが、後期北宋の白磁を思わせるほんのりとした白壺が、浅間山麓で美しい調べを放っておりました。
 三代目ポチ「ネギ」、楽しかったね。
 ありがとう、ありがとう、ありがとう。

「後の日の童子」という映画。「ふるさとは遠きにありて思ふもの・・・」と謳った室生犀星が原作です。独特の感性が溢れる作品の映像化に挑んだのは、是枝裕和監督。室生犀星の怪談を、繊細なタッチで描いておりました。主人公の少年とネギが重なって映っておりました。

 再放送「妖しき文豪(芥川、太宰、川端)怪談」は、NHK BSハイビジョンで8月23日(月)〜8月26日(木)まで4夜連続放送されます。

 

平成二十二年七月三十日

 

輪郭の飾り

 


西日の反射

 他人さまから元気をいただくのは有難いですが、癒しをそぅっと与えてくれる方とは、やはりお付き合いも長くなりますね。某新聞社の高柳先輩、某県の県会議長の三谷先輩。雑談ではじまり雑談で終わっただけなのに、清々しい気持ちが満ちました。
 もう40年、声をかけていただいております。

 元気という観念、癒しという概念、思わず字統を引きましたが、ますます分からなくなります。でも「生きる」という当たり前のことを教えてくれたのが、日曜日に楽しみにしている「ようこそ先輩」でした。

 教壇にたったのは長沼毅 (辺境生物学者)さん。深海探査船のお話に子供たちは目をまん丸にして聞き入っておりました。深海のお話が「生きる」という日常と密接に繋がっていたのでした。
 「我々人間にとって地獄のような場所こそが昔の地球。そこで誕生した大昔の生き物たちが我々につながっているんだ」と長沼さん。

 さらに感服したのは深海と宇宙との繋がりを独特の哲学をもって子供たちに語ったことです。「はやぶさ」が持ち帰ったカプセル、そして深海探査船の狭い空間には、世界の名だたる教会、モスク、神社仏閣が束になってもかなわない濃密な精神世界が詰まっているようでした。

〈小蟻(あり)どもあかき蚯蚓のなきがらを日に二尺ほど曳(ひ)きて日暮れぬ〉啄木。

 深海探査船、ハヤブサの苦闘を謳っているような啄木でした。

 

 

輪郭の飾り

 神妙な思索顔の猫に不意に横切られました。不屈の図々しさはヤツラの特権でしょうか。昼下がり、打ち合わせ(場所を強引に指定)をかねて小石川分館へ。
 この散歩道一帯の地主さんである小学校の校章は五三の桐。なるほど、明治天皇行幸記念碑の意味がわかりました。

 

輪郭の飾り

 


ねこ

 博物館の2階で高笑いしていた標本のノリで、某食品メーカーの企画宣伝マンとの打ち合わせも笑いの連続でした。食に関わる職人たちの「食説法」シリーズが始まります。(ランチ用にと、とっておきの小鰭の鮨を家に忘れてしまいました。)
 そのMさんはスクーバ・ダイビングもやるというので、来週あたり大瀬崎で潜ってきます。関東一帯は透視度は期待できませんが、あの浮遊感はまさに生の充実です。

 おばあちゃんの形見の銀製の額、笑う標本、そして深海探査船とハヤブサが白線上に並んで、生命のしくみと確信を美しく教えておりました。

 いつのまにか、雲が悲しみを抱きつつ重く垂れてきました。

平成二十二年六月三十日

 

輪郭の飾り

 


散歩1

散歩2

 
 「悲しみよ、こんにちわ」

 
 中学生のころ、セシールカットに興味を持ちました。女子なのに単髪。清潔感のなかにほんのりと得も知れぬ甘い香りが潜んでいるようでした。サガン原作の映画から流行ったセシールカットだったのですね。

 30年ほど前、パリ画壇の長老10人のアトリエを取材・撮影。「このアパルトマンに何たってかな、サ、サガンっていうオンナが住んでいるよ。」
 わざとらしく無関心を装ったサロン・ ナショナル・デ・ボザールの会長さんだった。サガンは、パリの保守層ではフシダラなオンナの代名詞だったようです。

 小さなキャンドルの炎が風もないのにふぅーと消えてから、よぎったフレーズが「悲しみよ、こんにちわ」でした。

 「堕落するのは私の自由」と薬物で逮捕される時に語ったサガンでしたが、「人は堕落できても、堕落しきるほど強くはない」とは坂口安吾。そんなこんなを考えながら、我が家近くの雑木林を撫でるように確かめております。

いちょう並木

 お茶大と筑付にはさまれた銀杏並木のゆるやかな坂(↑)。某マーキング跡をチェックしつつ、さらに数分歩くと「占春園」(黄門さまの弟君の屋敷跡)です。
 自分と一体化したい雑木林。
 虚実の境を消せるのが雑木林の魅力なのかもしれません。写真でもおわかりのように手付かずの木々がうっそうと佇んでおります。

 手付かずと云えば根性剥きだしのお三人でした。先日、相次いで木村多江さん、寺島しのぶさん、そして「私の児童虐待」をひっさげた柳美里さんの撮影がありましたが、桐野夏生若松孝二という凄ましいお二人に作品を通してさらに鍛えられたようです。「悲しみよ、こんにちわ」も吹き飛ぶような演技を求められたと女優さんは口を一文字に結んでおりました。
 生身の表現者たちとの5時間でした。
 南フランスの別荘地での少女の叫びと囁き────レベルが違いすぎましたかな。

 

 

輪郭の飾り

 

分館

俯瞰

 

静寂の魔術

 雑木林から数分で僕のスピリチュアル&パワーポイントでもある旧東京医学校本館(国の重要文化財)に着きます。正式名称は東京大学総合研究博物館 小石川分館で、常設展「驚異の部屋」が僕を癒しつつパワーも戴きます。

 展示物は明治以来、東京大学の各研究科で利用された学術標本などなど。展示につきものの説明文が潔いほどになく文字情報が一切ないのです。つまり形しかないので、想像を巡らしナゾ解きをするのです。

 小動物の骨格標本を五分ほど見ていたでしょうか。暗闇の深い森に迷いこんだような気持ちになりましたが、同時に鎮静の効果も与えられたような不思議な快感に全身が包まれました。臭いが、迫って来る思いでした。 自己愛の極みでしょうか。

 別室の展示品は、どんな実験道具なのかさっぱり分かりませんでしたが、どれもが完璧な造形美。そして何よりも素敵なのは、静寂の魔術。入館料無料でもいつ行ってもほとんど訪れる人はおりませんが、「仕分け」対象にはならいなと確信してます……

 手づかみ出来そうな「驚異の部屋」でした。

平成二十二年五月三十日

 

輪郭の飾り

 

野鳥

 リビングから長玉狙い。
 小石川植物園(正式名称は東京大学大学院理学系研究科附属植物園というらしい……)、鬱蒼とした豊島が丘御陵に遊ぶ野鳥たちが、我が借景にも飛来します。植物園にはハクセキレイ、カワセミ、カケス 、シロハラなどかなりの種類がいるのが驚きです。

 五万坪におよぶ320年前の風の流れを耽溺できるのは有り難いですが、悔しいかなワン公の帯同は許されません。犬公方(綱吉)御殿の跡地だっただけに合点が往きませんな。

 

輪郭の飾り

花見酒

とっくり

 借景を肴に独り花見。ソメイヨシノが散ったあとに八重桜が満開となりました。桜木の配置が絶妙であります。絵付師マダム・K作の桜碗が活躍する季節になりましたね。

 山葡萄が絵付けされた徳利の底には「飲みすぎ注意 ?」と綴っておりましたが、あとは冬夏の椿があれば完璧な酒器揃えです。特に朝に開花し、夕方には花が散る一日花である夏椿は浅間山麓の家にありますので…………

 

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西日の反射

 西陽は家具や外壁を痛めると昔から嫌われておりますが、昨年新築した跡見学園の窓がレフ板役目を果たしております。バウンスした光は柔らかくなって我が家におっとりと影を創ります。役に立つ窓に乾杯。

 

輪郭の飾り

 

 


翻訳本

 中国語に翻訳された拙著が版を重ねて(印税率は低い……)いるのは有り難いことですが、心配はパクリ(著作権侵害)です。上海万博でも知的所有権が話題になっておりましたが、なに、我が国においても著作権侵害は深刻なのであります。

 僕の場合、ここ2年で3件の被害にあいました。幸い所属する(社)日本写真家協会の顧問弁護士である北村行夫さんが瞬時に解決してくれましたが……
 
 著作権侵害って、刑法の窃盗罪。ネットで調べましたら、著名な「R」誌が数年にわたって8000点に及ぶ写真盗用が発覚、警視庁による家宅捜査にはじまり数億円の賠償金命令が出たようです。
 気をつけましょう。

平成二十二年四月三十日

 

輪郭の飾り

函館の古い写真

 過去に漂えども沈まず、探しものに耽溺するのもいいですねぇ。古い写真が二葉。お袋(写真下の右 麻生圭子似かな。)は現在94歳でますます意気盛ん。ああ、若かったですなぁ。
 はい、僕の故郷は函館です。で、函館といえば土方歳三なんですね。

 変化球多様な現代だからこそ直球一本槍の生き様がカッコいいのです。彼が駆け抜けた後は、おそらく清風が吹いていたように思えます。麹町のクリスチャン・ポラックさんは幕末の研究家でもありますが、土方と一緒に新政府軍と戦ったフランスの軍人、ブリュネの手紙を持っておりました。「ヒジカタ」の記述もしっかりとありました。髷を落とし和魂洋才に徹した土方とブリュネに会話はあったのでしょうか。そうそう、龍馬は変化球の名手でしたね。

 僕の友人が弁士を務める函館野外劇では、毎年土方歳三が熱く語られております。

 

輪郭の飾り

 


レントゲン写真

 昨年夏に脾臓と肉球の腫瘍摘出手術をしたばかりですが、今度は口内に腫瘍ができたネギ。僕の因果が我がワン公に報いたのでしょうか。最近は食欲が多少落ちましたが、薬投与と獣医さんから推薦されたチャーガ茶でしのいでおります。

高麗人参

 年老いた犬の寝姿をじぃーと見つめているだけで、いろいろなことを学ぶような気がします。ときどきぼんやりと遠くに視線を放りますが、その先に何があるのでしょうか。「お見舞いに」と友人から高麗人参と日本酒────「玉依御前」(空海のお母さん)────が届きました。本来ネギに煮出してあげるのでしょうが、人参酒となった次第です。

 遠くといえば、火星探査ミッションの何千倍もの難易度の仕事をこなし、この6月に戻ってくる「はやぶさ」は2003年に打ち上げられました。当初は4年で戻ってくる予定だったようですが、故障つづきで7年になったようです。
 その涙も誘う仕事ぶりは「HAYABUSA」をご覧ください。技術に裏打ちされた知恵という「資源」こそがニッポンを救ってくれると信じます。

平成二十二年三月三十日

 

輪郭の飾り

 


 

輪郭の飾り

 

 

 

 

 

 



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